SDGsと歴史の融合、持続可能な未来を築く教育の舞台(学校法人湘南学園中学校高等学校 総合学習活用報告)
旧村上邸は、明治末期から大正時代にかけて建てられ、2016年に鎌倉市に寄贈された和風建築物です。元は個人の住宅でありながら、敷地内に「能舞台」「複数の茶室」「日本庭園」があり、1999年に鎌倉市景観重要建築物の指定を受けています。
歴史的な建物であるが故に建物の維持に費用がかかる状況の中で、建物に新しい価値を吹き込みながら持続的に利活用していくためのアイデアが市から募集され、民間の保存活用事業者としてエンジョイワークスが選出されました。市民の方への事前ヒアリングの結果から、鎌倉の良さと鎌倉の外の良さが混ざり合う建物として企業研修や保養所、市民に使ってもらう施設を目指すこととなりました。
鎌倉市は2018年6月に国からSDGsみらい都市に選定され、持続可能なまちの実現に向け、地方自治体として、その開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みを推進しています。その中で、2019年に「旧村上邸-鎌倉みらいラボ-」として新たに歩み始める中で、鎌倉市におけるSDGsの発信拠点として位置づけられています。
今回は、「持続可能な社会の担い手」を育てることにつながるすべての教育活動を「湘南学園ESD」として位置づけて活動を行われている学校法人湘南学園中学校高等学校(藤沢市)の中学校2年生の1クラスに向けて、旧村上邸-鎌倉みらいラボ-として持続可能な開発目標(SDGs)の考えに基づく活動に関しての講義を実施しました。鎌倉市の課題、SDGsに基づく政策なども事前学習してきた生徒さんからの積極的な質問を受けることもでき、こちらからの問いかけにも、懸命に考えながら答える姿がとても印象的でした。
能舞台での学習の後は、庭に出て建物を眺めました。旧村上邸のような古い建築物を良い形で残しておくことが、若い世代の多様な学びにもつながる、とSDGsの視点も絡めて説明しました。小学生の頃からSDGsを学んできた世代だからこその質問も多くありました。
今回は、中学生の総合学習を学ぶ場としての利用でしたが、高校生の部活動のキックオフミーティングの場、大学のゼミ合宿の場としても活用されています。wifi環境も整っている為、調べ学習や、都心部と地方の遠隔でのオンラインミーティング等を行うことも可能です。プロジェクター、スクリーン、ホワイトボード等もあり、アイデア出しをグループ内で行い、そちらをまとめたものをスクリーンに映し出し発表することで、さまざまな意見を交わされ、新たな学びを得ることもできます。
旧村上邸-鎌倉みらいラボ-を利用すること自体も、未来を創る初めの一歩になるのではないでしょうか。